2022年4月1日
当店のPIベンチやリボーンチェアにも使われる、ビーチ材とはどういう木なのでしょうか?
ビーチと言っても、ワイキキビーチやマイアミビーチとは関係は有りません。実は森の女王と言われるブナの木の事です。
真正バラ類 - マメ群 に含まれる、
ブナ目 - ブナ科 - ブナ亜科 - ブナ属 - ブナ(橅)
とウィキペディアでも分類される立派な直系御曹司。森の女王だから、ご息女ですね。失礼しました。
日本では、ブナの木材としての呼び名がいわゆる「ビーチ材」です。
女王ですから、美肌で有名なビーチ材。研磨しただけですべすべの木肌となり、家具の材料として優秀なので古くから使われています。
重く硬いのに、しなやか。まさに家具向きの特性を持っていて、19世紀にトーネット社が曲木の技術を確立したのもビーチ材が最初でした。
さらに塗装をすれば重厚な仕上がりになります。当店のビーチ材は、ハーフマットのウレタン塗装で耐久性も考慮しています。
反面、乾燥が十分でないと反りが大きく出てしまうので、木材の乾燥や加工の技術が問われます。また、オイル仕上げやソープ仕上げの場合は木が呼吸をしています。大きく動くことは有りませんが、湿気を含めば膨らみ、乾燥すれば縮みます。「木は製材しても生きている」とも言える事象でしょう。
日本に散在するブナやミズナラの原生林は、キノコの宝庫。ナメコやひらたけ、シイタケ、クリタケ、ムキタケも採れますが、なんと言ってマイタケが王様でしょう。でも、マイタケが生えるのはミズナラで、ブナではありませんでした。ブナなら、ブナシメジも有名ですが、個人的にはナメコが王様です。ナメコはブナ林の宝石です。次のシーズンには、ナメコ狩りに行こうと心に決めています。
倒木しても何年もキノコを育て続ける、森の女王にふさわしい風格と包容力を持っているのがブナの木、ビーチ材なのです。
イスの原材料として見たときにビーチ材はとても優秀なので、様々なメーカーがこぞって使用しています。カールハンセン社のYチェアも最量販はビーチ材ですね。
そして、家具向けの他の材料と比べたときに、安価なのも見逃せません。当店ではビーチ材の他、アッシュ、チーク、オーク、ウォールナット、ローズウッドを製品に使用していますが、ビーチ材が一番リーズナブルな価格で提供できています。
当店のコンセプト「design for people」にふさわしい木材だと個人的にも思っています。
ブナ科のビーチの親戚はコナラ属の中に、皆さんもご存じの木が知られています。
ヨーロッパ
ヨーロピアンオーク
アメリカ
ホワイトオーク
日本
コナラ
クヌギ
ミズナラ
クリ
他にもたくさん有りますが、ブナ科と言っても軽かったり柔らかかったり、家具に適したものばかりではない所に、木材の奥深さも感じます。
投稿者:
佐々木
主にブラインド関連商品の開発・仕入を中心に業務をする。仕入は現地で行うという方針で、中国、台湾などで海外企業と一緒に商品開発をしている。 その中で、製材や木材の乾燥、加工の工場とも繋がりを持つ。好きな事はどんどん掘り下げる人。